AIの中村

Reply Drafterを作った理由 — メール返信の時間を、半分以下に

#Reply Drafter#開発の記録

どんな仕事にも、「返信」という作業がつきまといます。問い合わせ、確認、お礼、日程の調整——一通ずつ内容を読み、言葉を選び、整える。一通は数分でも、日に何十通となれば、それだけで時間が溶けていきます。

しかも、メールの返信は気を抜けません。宛先の取り違え、不用意な一言、抜けた確認事項。送ってしまえば、取り消せない。だからこそ、片手間にはできない作業です。

「AIに全部任せて、自動で返信させればいい」とは考えませんでした。文面を機械が勝手に送る怖さを、現場は知っています。送る前に、人の目が要る。

だから、こういう形にしました。メールが届くと、AIがその内容を読み、返信の下書きを用意します。できあがった下書きは、手元のSlackに届く。中身を確認して、問題なければ承認ボタンを押すだけ。それで返信が送られます。それが「Reply Drafter」です。

図① 基本の流れメール受信から送信までの5ステップを、絵で示した流れ図。メール受信、AIが読んで下書き作成、Slackに承認カード、人が確認・承認、送信。2番目をAIが、4番目を人が担う。0102030405メール受信AIが読んで下書き作成Slackに承認カード人が確認・承認送信図① 基本の流れAIが下書きし、人は確認・承認するだけ。判断の一点を、人に残す。

下書きが意図と違っていても、やり直しは簡単です。Slackのその場に「もっと丁寧に」「この件には触れずに」と書けば、AIが指示をくみ取って、書き直した下書きを返してくる。納得できるまで、何度でも。最後に承認を押すのは、いつも人です。

図② 修正のループ承認カードに修正指示を出すとAIが作り直し、新しい承認カードを出す流れを絵で示す。納得するまで何度でも繰り返せることを、右側の戻る矢印で表す。承認できれば送信する。0102030405何度でも承認カードスレッドに修正指示AIが作り直し新しい承認カード承認で送信図② 修正のループ違えば指示するだけ。AIが直して、また出す。納得まで、何度でも。

AIでメールを書くこと自体は、珍しくありません。けれど多くの場合、生成した文章をコピーして貼り付け、しかも毎回「この件について、こういう方向で」とAIに指示を打ち込む手間がかかります。

Reply Drafterは、あらかじめ会社の文面ルールや定型の情報を読み込んでいます。だから「お世話になっております」から始まる名乗り、本文、末尾の会社情報まで、構成を一から指示する必要がありません。届いたメールを読んで、そのまま整った返信の下書きが出てくる。コピペも、プロンプトの打ち込みも要りません。

体感では、丁寧な返信を一通仕上げるのにかかっていた数分が、内容を確認して承認するだけの数十秒になりました。一日に十通の返信があれば、その差は積み上がります。そして何より、これがスマートフォンひとつで完結します。外出先でも、移動中でも、届いた下書きに目を通して、指先ひとつで返信が送れる。机に戻るまで返信を溜める、ということがなくなりました。

AIが下書きを作り、人が承認して送る。手間は半分以下に、けれど最後の判断は、必ず人の手に残す。これも、AIが現場に作る「余白」の一つです。

御社の受信箱に積み上がる「あの返信」も、同じように軽くできるかもしれません。